oekakizamurai’s diary

赤い仮面は謎の人、どんな顔だか内緒だよ

必要条件と十分条件

ある生物の多くの個体はその日常的な判断に当たって2ステップまでの推論しかしないものとする。この生物は社会を形成しており、その社会では独裁者による統治時代の失敗を教訓として「民主主義」が支持されている。民主主義において、社会的決定は「多数決」によって行われる。多数決にはいろいろなルールがあり、不合理な選択を行わないような工夫はいろいろ議論されてはいるが、いずれにしても投票者が「熟慮による選択」を行わないとダメぽというのが結論のようであるが、それはさておき。

あるときまではリーダーとして選出された個体群は、4ステップ程度までの論理的な推論を行うことができ、そして次の2つの規範、嘘の発言をしてはいけない、あまり露骨に自らの利益を追究してはいけない、に従っていたが、それはリーダーと選出されるために必要であったからである。ところがリーダーたちの子孫は選出のハードルが低いために、多少これらの規範に抵触してもリーダーとして選出されるようになった。

そんなある日、リーダーたちのうちのメインポジションに座った個体が、この生物の基本仕様に気がついた。多数決による決定に必要な多数の個体は2ステップまでの推論しかできないのだから、たとえそのままでは多数決による支持を得られない案件であっても、出し方を選べばOKなのであると。

で、やってみたエクササイズがこんなかんじであったという。

問題:TPPを批准せよ。

状況:TPPはまずいことが多いらしいぜ。

ステップ1:TPPは自由のためだ。

ステップ2:TPPは世界平和のためだ。

多数個体:自由と平和のためならTPPはよさそうだ。支持する投票をしよう。

 

その後、多数決ルールは残されたようだが、リーダー規範は内規から削除されたという。民主主義は独裁国家の不幸を回避するための必要条件ではあるが十分条件ではなかったらしい。